読むといってもマンガ本なので、眺めている感じだが、これがとてもおもしろい。まさに、目からうろこ、である。
英語の習得のための、いわゆるノウハウ本なのだが、多くの日本人が陥りがちな(もちろん私も!)英語学習の盲点を鋭く突いているのだ。
一生懸命英語を勉強しても、いざ外国人と話すとなると通じない。「○×△?□・・」と話しかけて「??」という顔をされると、2−3歩引いてしまう。それで臆して、話しかける勇気を失ってしまう。多くの人はそれで自信を無くし、「自分は英語ができない」とか「もっと単語力を増やしたり、発音をマスターしなければならない」と思うようだ。私もそうだった。
この本は「知っている単語でぜんぶ表現してみよう」とい趣旨の本である。
中学校でマスターした単語だけでも、相当表現できる。中学までで学ぶ英単語の数は、だいたい1000語くらい。それはネイティブの5歳児が知っている単語の数とほぼ同様なのだそうだ。
アメリカ人は5歳児でも大人と話せるし、子ども同士で喧嘩もできる。・・なるほど!
この本でとても興味深く思ったのが、英語に限らず、学習全般に対する考え方である。
日本では算数の授業で、
14×17=( )
21÷7=( )
という設問で問題を出される。つまり、答えは常にひとつだ。実は国語でも歴史でも、たった一つの回答を求められることが多い。
ところが外国では(これは以前テレビで放映されていた北欧での話)、
( )×( )=14
( )+5=( )
という問題が出されていた。
そのときは、「ふーん」と思っただけだったが、これは学習の本質を突いている。つまり、「人によって答えが違ってもいい」という発想。
それを、「ずるいえいご」で気がついたのだった。
この本にこんな話が書いてある。
ある学生が(学生の分際で)レクサスに乗っていて、これ見よがしに見せつけていた。
「これみよがし」って英語でなんて言うの?と考えていた筆者は、一緒にいた日本人が、
「He was like "Look at this!"って感じだよね」と言っているのを聞いて、めからウロコが落ちたそうである。
つまり、表現方法は一つでなく、知っている言葉をつかって伝わればいいのである。
これを「これみよがし」って単語はなんだっけ?と辞書を引くのが「答えは一つ」の発想なのだ。
どうも、私たちは何事にもひとつの答えを回答するよう刷り込まれている。
それは英語だけに留まらず、さまざまな分野にわたっている。社会に出て色々な問題に出くわしたときも、ただ一つの答えで結果を出そうと、無意識にあがいてはいないか。
「ずるいえいご」は、「広義の学ぶこと」を考えさせられる本だと思った。
そういう気持ちで、先日は外国人と話をした。
こちらが伝えたいと思う気持ちがあれば、伝わるものだし、なんとか伝わったときは嬉しいものだ。自分の持っているものを出せばいいのである。
ひみつのばしょ
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