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はりねずみ通信

兵庫県姫路市にあるかない動物病院。
椎間板ヘルニアの治療であるPLDDや腹腔鏡手術などの低侵襲治療に力を入れています。
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急性捻転3(予防)
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     急性胃捻転の続きを書きたい。(これまでの経緯は、過去ログを参照下さい)

    一度発生した胃捻転を治癒に導くのは難しい。
    統計上は周術期死亡率が5割ほど、と言われている。手術をしても半数の犬は助けられないのである。最大の理由は、「来院までの時間」だ。

    胃が捻転すると、お腹のまわり(あばらより尻尾側)が膨らんでくる。ただ、見慣れていないと気がつかない方もおられるようだ。それから、嘔吐。吐きたいけれど吐けない状態が続く。
    その状況が発生してからは、症状は一気に悪化してゆく。おそらく、数時間以内に取り返しのつかないステージまで進行してしまうだろう。

    私たちの施設では、電話連絡を受けるとすべての仕事を中止し、全員で治療するルールにしている。また、麻酔前の処置や、麻酔方法、胃ガスの除去などに長年の経験がある。そのため周術期の死亡率は1割以下であるが、やはり救えないケースもある。

    胃捻転を予防できないか。大型犬が多い米国を中心に、予防法の研究が進んできたが、右側の腹壁内側に胃の幽門部(出口に近いところ)を縫い付けることで、予防が可能であることがわかっている。これは10年以上前から行われていることだが、実際に手術を受ける犬は、それほど多くなかったはずだ。理由は、手術侵襲(手術による身体的負担)が大きいからである。

    大型犬の胃を固定しようと思うと、腹部を正中から大きく開け、深い位置で組織の剥離や縫合の処置をしなければならない。おそらく20〜30センチ以上の傷になるだろう。

    そこで、近年、腹腔鏡下で胃固定を行う方法が取り入れはじめられている。
    ところがこの方法が本当に有効なのか、長期的な経過報告はまだ出ていないようだ。
    腹腔鏡で通常の手術と同じような精度で胃固定を行うことには、制限がある。
    そのため、結紮を必要としない特殊な糸を使って縫合したり、脇腹を4−5cm程度切開し外側から胃を固定する手技(腹腔鏡補助下)が行われている。

    私は、開腹手術と同様の方法を、腹腔鏡で行えるように取り組んでいて、5mmから1cmのポート3ヵ所から器具を入れ、胃の漿膜の剥離、腹膜・筋層の分離、全周の縫合を行っている。理論上は、開腹手術と同様の予防効果が期待できるはずである。

    ただ、これはちょっと難しいのである。
    動物を側臥位(横に寝かせた状態)で手術をするのだが、ちょうど縫合・結紮する場所が「天井」の位置になるからである。
    毎日ワンハンド・スリップノットの練習を行っているのは、これがスムーズに行えるためでもある。

    でも、小さな傷3ヵ所で完全な胃固定ができるのなら、予防的手術は普及すると思う。多くの施設で取り入れられるよう、術式の定型化が目下の目標。



    ただしいこたつのはいりかた
    | 獣医医療 | 06:13 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
    急性胃捻転の事、
    大変 興味深く読ませていただきました。

    もう…心がふるえました、先生!

    数年前に、その病の恐ろしさを知ってからというもの、
    ド田舎(^^; に住んでいる事も手伝って
    「夜中になったらどうしよう…」「最寄りに病院がない…」などと、
    どうしても 不安になってしまう事があるので、
    腹腔鏡で予防手術が出来るんだ、という事が
    本当に、希望の光です!

    ただ、うちの犬の場合はどうなのか、
    また 診察で相談させて下さい。

    先生の行われている手術はどれも、
    全国の沢山の施設で 受ける事が出来れば良いのに!
    と思うものばかりです(*^_^*)

    関係ないですけど、私も頑張ろう!という気持ちになります。
    | ぼてちん | 2014/12/07 1:52 AM |

    昨日は、ありがとうございました。
    友達の4才のシェパードが、胃捻転になり、かない先生に手術をしてもらって助かったとの話を聞いてたので、レックスもどうしようかなと考えてました。なので胃捻転予防の手術も一緒にできますよ、と先生のほうから言ってくださり、本当にありがたかったですo(^o^)o
    胸のつかえがとれたようなo(^o^)o

    これも先生の日々努力されてるおかげです。
    私は、レックスがエサに食いつくように努力したいと思います。
    あれこれと試してはいるのですが(>_<)
    だめですねえ(*_*)ついつい甘やかしてしまう。ホントにダメですね。
    | レックス | 2014/12/07 10:51 AM |

    ぼてちんさん、よい治療が普及するように願ってやみません。学会発表やはりねずみ通信、研究会などを通じて若い獣医師(もちろん年配の人も)に心に火がつくようにしたいです。

    レックスさん、大型犬を飼っておられるかたでも、身近に胃捻転の話を聞いていないと、実感がわかないようです。そこが一番の問題かもしれませんね。

    | かない | 2014/12/08 6:28 AM |










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