2013.01.22 Tuesday
乳び胸について1
乳び胸、という病気について少し書きたい。
(病気に詳しくない人にむけて書くつもりなので、わかりにくかったらおしえてください)
からだがむくみやすい、という方も多いだろう。
多くの場合、これはリンパ液の流れが滞っているためだ。
からだには体液を運搬する管(くだ)がある。
よく知られているのは動脈と静脈。これは心臓というポンプで能動的に循環している。
これに対し、リンパ管はそれを動かすポンプがない。体の動きや筋肉の収縮の力を借り、静かに流れている。
リンパ管という管は、驚くほど繊細で、血管のように厚みのある壁はなく、薄紙のような外壁をしている。
リンパ系は主として3つの役割がある。
1.水分のバランスを維持する
2.免疫反応を担う
3.食事で得られた脂質を吸収し運搬する
細胞からしみ出した体液の10%は毛細リンパ管に入りリンパ液になる。また、小腸から吸収された脂質は、腸のリンパ管を介して運搬されてゆく。
これら非常に細いリンパ管は、樹木が枝から幹へ向かうように、次第に太くなってゆき胸管へつながる。
胸管は身体最大のリンパ管で、人間でいうと胸の部分の背骨の前面に、背骨の向きに沿って首の方向へと向かっている。
最終的には首のあたりの大静脈と頸静脈の合流部付近で、リンパ静脈吻合という部分をへて静脈系へとつながってゆくのだ。
乳び胸という病気は、胸腔内(心臓や肺がある部分)の胸管というリンパ管の最も太い部分が破れ、リンパ液が胸腔内に貯留する病気である。
外傷や腫瘍で胸管が破れる、心疾患で鬱血(うっけつ)が起こりリンパ管への圧力が高まって破綻する、など、原因がはっきりわかる場合は非常に少なく、多くは原因不明である。
医学用語で「特発性」というと原因不明、という意味。
だから「特発性乳び胸」と呼ばれることが多い。
簡単に言うと、「リンパ管の一番太いところが破れ、胸の中にリンパ液がたまる病気」である。
動物はミルク状の胸水(リンパ液は本当のミルクのように真っ白なのだ)が肺の外側にたまり、肺が膨らまなくなって呼吸が苦しくなる。
明日は治療法について。
おふろがまちきれない