2013.07.01 Monday
低侵襲治療の意味
「低侵襲(ていしんしゅう)」という言葉は、身体の負担が少ない、という意味である。
低侵襲治療のなかには、腹腔鏡や胸腔鏡手術、関節鏡、IVR(脳梗塞や心筋梗塞に使われるステント治療等)などが含まれる。私が手がけているPLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)もこれに含まれる。
私が低侵襲治療に関心をもったきっかけは、私自身が動物を傷つけたくないから、という利己的な理由からである。
ところが、動物の治療には外科治療が有効なことも多い。外科でしか救えないこともある。
多くの獣医師がそうだと思うが、動物に負担をかけたくない、という気持ちと、治したいという気持ちのせめぎ合いで日々診療を行っているだろう。
一方、動物を飼っているひとの視点で見ても、一緒に生活する家族である動物に、痛みや苦しみを与えたくない、という考えがあるのは当然である。
特に動物の医療は特殊な側面がある。
先にも書いたが、動物自身は治療法を選択できない、という点である。
避妊手術一つをとっても、飼い主さんは「これはこの子にとってよいことなのだろうか」と心配になる。
けれど、先に起こるかもしれないリスクを避けるため、手術を受ける選択肢を選ばなければならないときもある。
つまり、獣医師も飼い主さんも、勇気や希望を持って治療に取り組まなければならない、ということだ。
そのなかで、動物の治療に対する「低侵襲性」を考えることには、意味があると思う。
低侵襲治療について、獣医師や飼い主さんに向け、私が伝えていきたいことを少しずつ書いていきたい。
よお!